法令遵守(コンプライアンス)
近年、「法令遵守(コンプライアンス)」という言葉が盛んに叫ばれるようになりました。
大多数の方は「法令を守るなんて、何を当たり前のことを・・・・」と思うであろうと思いますが、出来ていない企業が多いからこそ、ここまで着目されるようになったとも言えます。
では、多くの会社はどういった面で法令遵守(コンプライアンス)が出来ていないのでしょうか?
営業許認可の不備(違法営業)
例えば、建設業や風俗営業、運送業や産業廃棄物収集運搬業、介護事業に飲食業等、多くの事業において、その事業を営もうと思ったら本来営業許認可が必要になる業種があります。
営業許可が必要な業種であるにもかかわらず営業許可を取らない業者の理由の多くは、単純に要件を満たせなかったり、営業許可取得にかかる費用や労力を惜しんだり、「まあばれないだろう」と言う軽い気持ち(正に法令遵守(コンプライアンス)意識の欠如)などが代表例です。
当然ながらバレたら一発で営業停止と罰則適用ですし、遅かれ早かれバレると思って下さい。
ライバル会社や会社待遇に不満を持つ従業員、はたまた単純に他人の不幸を好む利害関係の無い方がお上に匿名で密告するからです。
特に風俗営業関連の事業(スナックやキャバクラ、性風俗関連)に違法営業店は多く、毎年多数摘発されていますが、多くは密告によるものがきっかけです。
税金の不適正処理・申告(脱税)
税金を払いたくない事業者は多いですが、脱税により多額の追徴課税を受けて経営が傾き、営業許可の取り消しを受け、最終的にどこまでも追いかけてくる税金に殺される会社、経営者が多いのもまた事実です。
税金に関しては、腕の良い税理士を雇い入れ、認められた限りの節税対策は行うとしても、正しい税務処理と申告を行い、きちんと納税することが結果的には事業を永続的に守ることに繋がると思います。
現金商売の方に特に多いですが、申告自体していない方がゴソッと数年分の税務調査でキャッシュを持って行かれ、いっきに資金繰りが悪化し倒産するケースは枚挙に暇がありません。
そう言う問題ではないですが、脱税はバレる確率と重加算税などの追徴課税の重さを考えると、全く割にあいません。
脱税して、会社を解散させればもう調査は来ないと考える方もいらっしゃいますが、解散した会社にも税務調査はやってきます。
消費税課税事業者の適用逃れに2年毎に会社を潰しては設立する方や、計画倒産する方など様々ですが、税金逃れは難しい(実質不可能)と肝に銘じた方が良いでしょう。
また、赤字会社には税務調査が来ないと思い込んでいる方もいますが、こちらも大間違いです。
2011年の法人税・消費税の税務調査件数は約129,000件で、その内、約55,000件が赤字企業ですので、税務調査に入った会社の赤字企業割合は40%を越えます。
これは結構な割合だと思いませんか?(冷静に考えれば、日本の中小企業のほとんどは赤字企業なわけですから、赤字だから税務調査が入らないとしたら、税務調査は大企業にしか入らないことになってしまいます。当然実際はそんなことはありません。)
尚、税務調査は会社決算の変動の大きさから調査官が能動的に気づき入られることが多いですが、こちらもライバル企業や、会社待遇に不満のある従業員からの密告で脱税がバレたり、調査のきっかけになることも多々あります。
結局の所、納税しない限り内部留保は溜まりません。内部留保がないと言うことは、何らかのリスク発生時のキャッシュの備えがないということなので、倒産確率が高まります。
銀行融資の為に無理矢理粉飾決算で黒字にして税金払って自分のクビ締めている企業もありますが、結局過大でも過少でも駄目と言うことです。
綺麗ごとで言っているのではなく、「適正・遵守」があなたの事業を守ることになるのです。
ブラック企業
結局のところ、従業員を大切にしない会社は、従業員に裏切られて最終的に息の根を止められることになります。
- 残業代未払い
- 休日出勤
- 過剰労働強制
- パワハラ、セクハラ
上記のような労働法上の違法・不法行為は当然許されませんが、このような経験をした従業員は、会社に愛着や感謝を持つどころか「恨み」を持つわけです。
「辞める覚悟」さえ付けば、これまでの復讐と言わんばかりに労働基準監督署はもちろん、国税庁や許認可を所轄する行政庁に違法行為や問題点を平気で密告します。
密告はきっかけに過ぎないので、悪いことをしていて処罰されるとしたら、それは正に経営者自身の自業自得以外の何物でもないですし、処罰されてしかるべきです。
「従業員を家族のように大切にする」と言う基本概念が無い為、労働法規や労働契約の遵守意識も当然なく、最終的に会社内部に精通している身内自身に裏切られ、自身も破滅する愚の骨頂パターンが増えてきております。(辞める従業員にとっては、その会社が倒産しようが何だろうが関係ない話ですからね・・・)
今後、未払い残業代(サービス労働)を含めた労使トラブルはますます増えていくでしょう。
会社設立手続きは難しいことなどひとつもありません。難しいのは会社経営です。
法令遵守の意識、納税の意識、従業員を大切にする意識がなければ、早晩何らかのトラブルになることは間違いありません。
あなたが会社を設立してから、そのようなトラブルを引き起こさず、永続的な会社経営を行っていく為には、上記を心に留めておくことは大切なことではないでしょうか。