事業目的
合同会社の事業目的
以前の商法では、会社の事業目的に関しては「営利性」「適法性」「具体性」「明確性」全てを満たしている事が求められた為、事業目的が登記可能かどうか、管轄法務局への確認が必要でした。
しかし、現在の会社法においては類似商号の規制が緩和されましたので、現在では定款記載の会社事業目的の具体性は問わず、「適法性」と「営利性」を満たしていれば良いとされています。
中には事業目的は20も30も並べる方がいらっしゃいますが、あまりに多い事業目的はその会社が何をやっているのかわからず、第三者からの不要な信用低下につながる可能性もありますので、多くても10個程度に留めておくことをお勧め致します。
※事業目的の最後には「前各号に付帯する一切の事業」と記載しますので、あまり細かく決め過ぎる必要はございません。
また、将来行う予定の事業は予め記載しておくと、後々の定款変更手続きが不要になり、手間と費用を削減できます。
事業目的と営業許認可の関係
事業目的は会社設立時に必ず決めておかねばならない事項ですが、登記された事業目的の全てが無条件に営業できるわけではありません。事業の中には定款に記載しただけは行うことが出来ず、別に営業許認可を受けないと出来ない事業が相当数あります。
そのような営業許認可取得が必要な業種を行う場合、適切な事業目的文言が定款に入っていないと、いざ事業を始める際に定款変更や変更登記をする必要が出てきます。(当然手間も費用もかかります。)※事業目的変更は、登録免許税3万円が必要です。
営業許認可が必要な業種一覧
参考までに、営業許認可が必要な業種例の一部です。下表に記載がない事業であっても許認可が必要な場合がございます。
事業の種類 | 例 | 受付窓口 |
---|---|---|
飲食店、喫茶店営業 | レストラン、酒類以外の飲料提供 | 保健所 |
菓子製造業 | ||
食肉、魚介類の販売 | ||
薬局 | ||
医薬品販売 | ||
医療用具販売 | ||
クリーニング業 | ||
旅館業 | 旅館、ホテル、民宿 | |
理容、美容業 | 美容院、床屋、理髪店 | |
建築物清掃業 | ||
産業廃棄物処理業 | ||
酒類販売 | 酒類を扱うコンビニなど | 税務署 |
貴宝製品、毛皮製品販売 | ||
風俗営業 | スナック、パチンコ店 | 警察署 |
質屋、古物商 | リサイクルショップなど | |
深夜喫茶店 | ||
警備業 | 警備、駐車場管理など | |
指定自動車教習所 | ||
労働者派遺事業 | 特定業種の人材派遺 | 公共職業安定所 |
特定計器販売事業 | 計量検定所 | |
建設業 | 都道府県 | |
電気工事業 | ||
宅地建物取引業 | ||
不動産鑑定業 | ||
屋外広告業 | ||
貸金業 | ||
通訳案内業 | ||
国内旅行業 | 国内旅行 | |
貸駐車場 | 不特定多数対象の駐車場 | |
ガソリンスタンド | ||
危険物の製造、貯蔵、取扱 | 消防署 |
- この表にない業種であっても許可などが必要になるものがあります。(これらを無許可で行うと罰金や営業停止の処罰がありますのでご注意!!)
- 届出窓口も政令指定都市や中核市などにおいては、各市へ変更になっている場合もありますので、必ずご自身でも確認して下さい。
事業目的には記載したけど、実際には営業しない場合
多くの方が「定款内に事業目的として記載した事業は、全て許可を取らないといけない!」と誤解されているのですが、そんなことはありません。
例えば、飲食店の経営を開業後すぐにはやらないけど、将来的にやるかもしれない・・・・・
このような場合は、定款内の事業目的の中に、「飲食店の経営」との文言を入れておきます。(繰り返しになりますが、逆にこの文言がないと許可がおりません。)そして、実際に会社を設立して開業し、数年後、「さあ、そろそろ資金も貯まってきたし、飲食店の経営をはじめようかな!」そう思い立った際に、許可取得の手続を行って、営業許可を取れば良いのです。
将来的にやる予定の事業に関しては、予め定款内に書いておけば、いざ事業を始める際に定款変更や変更登記をする手間が省けます。
逆にやらないのであれば、許可を取る必要もないわけですから、特段デメリットはありません。(ただし、あまりに事業目的をズラズラと書き連ねるのは、第三者からの信用面の観点からもお勧めできないというのは先述の通りです。)