消費税の計算方法
企業が納付する消費税の計算は、納税額の計算方法により求められます。
商品等を販売した際に会社や個人事業主は国に消費税を納めなければなりません。
納付すべき消費税は売上の5%(販売時に顧客から預かった消費税)ではなく、預かった消費税から仕入れにかかった消費税を差引いた分が納付額となります。
※このことを「仕入税額控除」といいます
売上に消費税のかからないものは除かれます。
納税額の計算方法
消費税の納付額 = 売上に係る消費税 - 仕入等に係る消費税
例)消費税の課税対象となる売上(課税売上)が10万円で、消費税の課税対象となる仕入(課税仕入れ)が6万円の場合
- 売上にかかる消費税 = 10万 × 5% = 5,000円
- 仕入にかかる消費税 = 6万 × 5% = 3,000円
- 消費税の納付額 = 5,000円 - 3,000円 = 2,000円
売上高に対しての消費税を納税するとなると生産・流通の段階で重複して課税されてしまうので、売上の消費税額から仕入の消費税を控除することにより、重複しないような仕組みになっています。
消費税計算のために必要なもの
消費税を計算するためには売上・仕入の金額がわかる材料が必要です。
事業者は課税期間の帳簿・請求書が必要であり、帳簿及び請求書がない場合、仕入税額控除は適用されません。
つまり、売上から仕入の消費税を差引くことができないので5%全額納付することになります。
帳簿及び請求書には一定の記載事項が決まっており、すべての項目が記載されてなければいけません。
帳簿の記載事項と保存期間
- 取引の年月日
- 取引内容
- 取引金額
- 取引相手の氏名又は名称
※帳簿の閉鎖日の属する課税期間の末日の翌日から2ヶ月を経過した日から7年間、納税地、又は取引に係る事務所等に保管
帳簿とは、日々の取引の記録を残すものであり、メモ書きや覚書は帳簿とはみなしません。帳簿の4つの記載事項は一つの帳簿に記載されなくても、元帳・補助帳・仕訳帳で関連付けることができれば要件を満たしていると言えます。
請求書の記載事項と保存期間
- 取引の年月日
- 取引内容
- 取引金額(税込)
- 取引相手の氏名又は名称
- 書類作成者の氏名又は名称
※閉鎖又は受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2ヶ月を経過した日から7年間、納税地、又は取引に係る事務所等に保管
請求書も帳簿と同様、5つの記載事項を納品書・領収書等を総合して確認できれば要件を満たしていると言えます。税務調査が入れば嫌でも知ることになりますが、帳簿の整備、書類の整備は非常に重要になります。
消費税-請求書が取れない場合
消費税の仕入税額控除を受けるのに、請求書や領収書が取れない場合、原則として仕入税額控除は適用されません。
しかし、例外として帳簿の保存だけで控除が適用されることもあります。
- 課税仕入れに係る税込の支払額が3万円未満の場合
この場合、帳簿の保存のみで控除が適用されます。 - 税込の支払額が3万円以上で、請求書の交付にやむを得ない事情がある場合
この場合、帳簿にやむを得ない理由、相手方の住所又は所在地を記載します。
やむを得ない理由の範囲
- 自動販売機を利用して課税仕入れを行った場合
- 入場券、乗車券、搭乗券等のように課税仕入れに係る証明書類が資産の譲渡等を受ける時に資産の譲渡等を行う者により回収されることとなっている場合
- 課税仕入れを行った者が課税仕入れの相手方に請求書等の交付を請求したが、交付を受けられなかった場合
- 課税仕入れを行った場合において、その課税仕入れを行った課税期間の末日までにその支払対価の額が確定していない場合
なお、この場合には、その後支払対価の額が確定した時に課税仕入れの相手方から請求書等の交付を受け保存するものとする。 - その他、これらに準ずる理由により請求書等の交付を受けられなかった場合(口座振替による支払等)
消費税の課税期間とは?
納付する消費税の計算をする際の基礎となる期間を課税期間と言います。
通常課税期間とは事業年度と同一で12か月が原則ですが、その期間を3ケ月・1ヶ月に短縮することも可能です。
※個人事業者の場合は1~3月・4~6月・7~9月・10~12月の期間で区切ります。
短縮する理由としては、事業年度の初めに設備投資等を行い、消費税の還付を少しでも早めに受けること等が挙げられます。
課税期間を短縮するには、短縮しようとする課税期間の前日までに「消費税課税期間特例選択届出書」を所轄の税務署に提出します。(手数料はかかりません)