傷病手当金とは?
病気やケガで働けず会社を休んだときは社会保険から「傷病手当金」という給付があります。
これは、
- 療養のために労務不能と病院の証明があり、
- その間の給与が出ていなければ、
給与相当額の3分の2が給付されます。
給付金は4日目からになりますので、最初の3日間は有給を使用される場合が多いです。(もちろん欠勤でも構いません。)
従業員からすると、万一の病気や怪我の場合で休職するとしても給与の3分の2が保証されるのは安心感に繋がると思います。
会社としては、どうなるでしょう?
いくら従業員が病気や怪我の仕方ない事情とは言え、「仕事が出来ないのに給与を支払うのはキツい・・・・」という本音もあるでしょう。
会社側とすると、
- 欠勤扱い(会社からは無給)で傷病手当金を受給
- 有給扱いで会社から給与を支給する
のいずれかを選択することになります。(尚、私傷病の欠勤は、会社は給与を支払う義務はありません。)
給与が出ている場合は、その期間分は傷病手当金は当然もらえませんので、通常は給付金を受給される場合がほとんどです。(有給ですと給与確保+お休みは取れますが有給が減ってしまいますので従業員からするとマイナスです。)
また、注意点としては無給の場合でも社会保険料は掛かりますので仮に給与が無い場合は、給与はマイナスになります。通常は、その分を復帰後に本人からもらう場合が多いですが、毎月振込等でもらう方法もあります。
疾病手当金の詳しい内容や要件、必要書類は協会けんぽのサイトでご確認下さい。
ちなみに、傷病手当金の支給申請の際に添付する診断書には保険が効きます。病院によって診断書の費用は違いますが、通常の診断書が5,000円程度かかるのに対し、傷病手当金の診断書は3割負担であれば300円です。
必ず申請期間が経過した後で証明をもらいましょう。
申請期間が長期に渡る場合には1ヵ月単位で給与の締切日ごとに申請されることをお勧めします(その都度医師の診断書は必要になります)。
社員が傷病手当金を申請する場合
従業員ではなく業務執行社員などの社員も健康保険の被保険者であれば、傷病手当金の申請は可能です。
支給要件は従業員と同じですので、役員報酬が支払われていたのでは当然傷病手当金は支給されません。従って、傷病手当金を受けるためには、療養期間中は役員報酬を一時的に減額もしくは不支給とする必要があります。
社員総会にてその旨決議をし、議事録を作成しましょう。傷病手当金の申請時にはその議事録も添付することになります。
ところで、期中に役員報酬を減額したら損金算入されないのはないかとご心配になるかもしれませんが、役員が病気で入院したことにより当初予定されていた職務の執行が一部できないこととなった場合に、役員報酬の額を減額することは臨時改定事由による改定として定期同額給与として認められます。
また、病気が治り長期療養前と同様の職務の執行が可能となった場合に、入院前の報酬と同額の報酬を支給することとする改定も臨時改定事由による改定と認められます。
とはいえ、役員報酬を減額すれば会社の所得なども変わってきますので、社員の場合は手当金を受給すべきなのかあらかじめ顧問の税理士さんに確認したほうがよいでしょう。