産前産後休暇と育児休業
会社設立をしますと、社会保険の加入義務が出てきます。
社会保険は毎月の費用も法人にとって軽くはないので、ネガティブな印象を持つ経営者の方も多いですが、従業員にとってはメリットも大きいものです。(従業員を幸せにする会社が繁栄し続ける訳ですから、会社にとっても従業員に喜んでもらえる事は会社のメリットに繋がります。)
今回のテーマである産前産後休暇と育児休業も社会保険料を毎月払っているが故の恩恵と言えます。
産前産後休暇とは?
出産日から6週間前までは「産前休暇」を取る事が出来ます。
この期間中は、会社は給料を支払わないし、社会保険料も支払う必要はありません。一方、従業員も給料は会社から貰えないので、社会保険料も支払う必要はありません。
しかし、この期間は国から給与の67%のお金が貰えます。(仮に1ヶ月の給与が25万円としますと、67%の167,500円が貰えることになります。)
そして、この期間は社会保険料を支払わなくて良いのに関わらず、国としては「社会保険を働いている時と同じ金額を従業員が払い続けている(会社も会社負担分を払い続けている」という対応をしてくれますので、社会保険カードを取り上げられる等と言う事はありません。
そして、出産日から8週間までは「産後休暇」を取ることが出来ます。
この期間も会社は給与支払わない、社会保険料も支払わない。
従業員も給料は貰えない、社会保険料も支払わなくて良い。
だけども「社会保険料は納め続けていると国は判断してくれる」+「月給25万円の67%である約17万円が国から貰える」と言う事になります。
※貰えるのは2ヶ月単位で、過ぎた分を後から貰えるため、「2ヶ月経つ→約34万円貰える」という流れになります。
育児休業とは?
そして、産前産後休暇が終わったら、「育児休業」となります。
育児休業は出産日から1年までですが、産後休暇が8週間ありますので、約10ヶ月が実際の育児休業の期間となります。
この期間も働かない状態だけれども、国は「従業員が会社と自分が社会保険料を支払っている状態」としてカウントしてくれます。
そして、この期間の6ヶ月まで(正確には4ヶ月程度)は67%の約17万円が貰えると言う事になります。
7ヶ月目以降から1年までは50%(125,000円)が貰えます。(※こちらも貰えるのは2ヶ月単位となります。)
更に、1年経った後に「子供を保育園に入れたいけれども、入れなかった!」となった場合には、上記育児休業が6ヶ月伸びてトータルで1年半となります。(※待機児童として認められた場合に限ります。)
当然この期間も「社会保険料をずっと払っている状態」+「125,000円貰える」ことになります。
産休・育休が終わって復職する際には・・・・?
産休・育休が修了し、従業員本人が復職の意思表示をした際には、会社側は拒否する事は出来ません。
また、産休・育休は復職前提の制度ではありますが、1年(1年半)経って復職するとなった時に「やっぱり復職はできないです!(難しい)」となって結果的に退職した場合でも、ペナルティ自体はありません。(会社が後から国にお金を返さないといけない」だとか、「従業員が国にお金を返さないといけない!」とはならないということです。)
更には、もしパートタイムなどで復職するとなった場合に、「働ける時間が少なくなったので、給与を12万円にします。」となった場合でも、子供が3歳までは以前の等級(25万円支払っている時)の社会保険料を支払っていると国が認めてくれます。
こう考えると社会保険はやはり従業員にとって非常に心強いですし、この辺をしっかりしている会社にこそ、人材が集まりやすいと言うのも納得です。
法人は社会保険は強制加入ですが、未加入業者も少なくありません。法令遵守は当然ですが、従業員のことを考えると社会保険加入はしっかりしておきたいところですね。