合同会社設立.com | 合同会社の基礎知識、株式会社比較、変更手続き(増資・本店移転・役員変更)を詳細解説。

わかりやすい合同会社設立.com > 2010年 > 10月

合同会社で建設業許可

これから建設業許可を取得しようと考えている経営者の方、会社設立をお考えの経営者の方。

効率よく建設業許可と会社設立を同時に行うには、それぞれの特徴をよく知ることが大事になります。

弊社は延べ1,000社を超える会社設立手続き実績と、県内150社を超える建設業者の関与先を抱えております。数多くの実務経験に裏打ちされたノウハウとして、どんなことに気をつけると良いか、又は自分にあった方法とはどんなスタイルか、こちらを参考にしていただきたいと思います。

建設業許可を取得した場合のメリット

  1. 工事施工金額の上限がなくなる。

    許可を取得していなければ軽微な工事(建築一式:1500万に満たない工事又は延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事・その他:500万に満たない工事)のみとなりますが、許可取得後は、施工金額を気にすることなく受注ができます。

  2. 取引先の確保や信用が得られる。

    業者によってはコンプライアンスへの取り組みから建設業許可取得業者に下請を依頼するという条件を提示する場合もあります。

    また、許可を有しているということは技術者や財産的な要件を満たしているということから信頼を得ることができます。

  3. 公共工事を受注することができる。

    公共工事を請負うには経営事項審査を受けなければなりませんが、その経営事項審査を受けるには建設業許可を取得している必要があります。

    公共工事を受注することで事業を安定させることができます。

  4. 融資の申請に有利になる。

    建設業許可を取得していない場合に比べて、財産的基礎要件も必要となる許可業者は審査の判断材料としても有利になります。

    また、許可業者の方が必然的に仕事の獲得機会や売上単価が大きくなるので、この点も融資審査の際にプラス材料となります。

建設業の許可を取得するとたくさんのメリットがありますが、取得する際の注意点もあります。

建設業許可取得の際の注意点

  • 許可の申請をする際は90,000円の証紙代と複数に渡る書類を作成しなければなりません。行政書士に代行を依頼する場合は15万前後の費用が必要となります。
  • 年に一度の決算報告と5年毎の更新が必要です。毎年決算報告をしていないと5年後の更新ができません。更新をしなければ許可は継続されず、再度新規申請を行うことになります。
  • 変更が生じた場合は変更届を提出します。

上記のように多少の費用や手間はかかりますが、許可を取得することで工事の規模も大きくなり、安定した売上に繋がるのであればデメリットと言えるほどの問題ではないでしょう。

許可を取得せずに建設業を営むこともできますが、許可を取得した方が社会的信用や請負う業務の幅も広がりあらゆるチャンスを生み出すことができます。

要件が満たせない場合は申請することができませんが、専門家に相談することでダメだと思っていたものが解消することができるなど、要件を満たすためのアドバイスを受けることができます。建設業許可をお考えの方は諦めずにまずは相談してみましょう。

建設業の許可申請は個人と法人どちらで申請すべきか?

建設業許可を申請するには個人・法人どちらでも申請することができます。

個人のままで申請し、後から法人成りをすることもできますが、どちらか悩む場合はそれぞれの内容をよく確認した上で検討しなければなりません。

個人で取得した建設業許可は事業主に帰属するということから事業主が死亡した場合は引き継ぐことができず廃業しなければなりません。

後継者がいる場合でも新たに申請しなければならないため、後継者に引き継がせる予定がある場合は予め法人設立してから建設業許可を取得する必要があります。

法人で許可を取得していれば法人の代表者が死亡した場合でも、変更の手続きを行えば引き続き許可を継続することができます。

その際、要件である経営業務の管理責任者と専任技術者が欠けないようにすることが重要となります。

代表者が経営業務の管理責任者だった場合は後任を届けなければ許可を継続することはできません。

近い将来、法人化をする予定があれば許可を取得する前に会社設立をするとその後の手続きがスムーズに行えます。

法人設立のメリット

  • 税金面

    個人事業と法人では税金の計算方法や税率が異なります。

    個人事業の利益にかかるのが所得税で、法人の利益にかかるのが法人税となり、所得税は利益が出るほど税率は上がり、法人税は一定の税率となっており、利益がいくら大きくなっても税率は変わりません。

    開業からまもなく利益が少ないうちは個人事業でも少ない税金で済みますが、利益が上がるようになると法人が有利と言えます。

    税率で見てみると、所得が510~660万を超えるようであれば法人への検討をされる基準になるでしょう。

    また、経費の幅が広がることや赤字を繰り越す期間が長いこと、相続税がかからないなど個人と比べて法人は節税対策を行うポイントがたくさんあるので、より良い方法で対策することができます。

  • 信用面

    融資の際の審査では、個人よりも法人の方が融資を受けやすいと言われています。

    取引先の印象や社員を採用する際の働く側の印象も法人の方が印象は良くなります。

  • 決算月

    個人事業の場合は1月~12月が決算と決まっていますが、法人は決算月を自由に決めることができます。

    経営状況や節税対策などを考えて都合の良い月に合わせることができます。

  • 責任

    法人は出資の範囲で有限責任となるため税金や借入金など個人で返済する必要がありません。(経営者が保証人となり融資を受けている場合はメリットにはなりませんので注意が必要です。極力代表者保証の付く必要の無い信用保証会付融資や、日本政策金融公庫の新創業融資を利用しましょう。)

個人事業主のメリット

  • 税金面

    個人事業は利益に応じて税金がかかるので利益がなければ税金を支払う必要がありません。

    一方、法人の場合は法人住民税が均等割となるため赤字であっても毎年7万円は支払わなければなりません。

  • 社会保険

    国民健康保険と国民年金に加入していれば社会保険の加入義務はないため、負担を軽減することができます。

  • 事務作業

    登記をすることもなく、確定申告も簡単なことから事務負担を軽減することができます。

  • 交際費
    全ての交際費を経費として計上することができます。
  • 事業の開始と廃止の手続き

    個人事業の場合、税務署に書類を提出するだけで事業を開始・廃止することができます。

    一方法人の場合は、開始・廃止の際は登記が必要となるので費用もかかります。

会社設立と建設業許可申請

会社設立だけをする場合はそれほど注意することはありませんが、建設業許可を取得するには会社設立の際の注意点がいくつかあります。

  • 事業目的
    会社設立にあたって事業目的を登記しますが、その際建設業の許可を申請しようとする業種名を正確に記載します。

    また、今回申請することがなくても、将来業種追加をするかもしれない業種も予め入れておくと登記の追加をするための登録免許税や専門家に支払う報酬などをかけずに済みます。

  • 資本金

    会社設立のための資本金は通常金額の指定はありませんが、建設業許可要件を満たすためには500万円以上の資産があることを証明しなければなりません。

    会社設立と一緒に許可申請を行う場合は資本金を500万円にすることで同時に要件を満たすことができます。(現物出資の場合は要件に該当しません。)

    資本金が500万円未満でも法人名義の口座で500万円以上の残高証明書を発行してもらうことで要件を満たすこともできます。

  • 役員

    建設業許可要件には経営業務の管理責任者は常勤の役員でなければならないとあります。

    法人設立の際は経営業務の管理責任者となる方は必ず取締役となり、後継者などがいるのであれば取締役に入れておくことをお勧めします。

    会社設立に関しては重要な事ではありませんが、建設業許可では経営業務の管理責任者が欠けると許可を継続することができません。

    後で役員の追加をすることもできますが、変更のための登録免許税が発生しますし、後継者の実務経験を養うためにも備えておくとよいでしょう。

株式会社と合同会社

一般的に会社といえば株式会社を思い出すことが多いと思いますが、合同会社も認知度は低いですが様々なメリットが有ります。

それぞれの違いを把握した上で検討するとよいでしょう。

合同会社のメリット

  • 設立費用が安い

    法人設立に必要な登録免許税は株式会社の場合下限額は15万円となっていますが、合同会社の場合6万円となっています。

    資本金の0.7%が登録免許税となるので一定額を超えるとこの限りではありませんが、半分以上も費用を抑えることができます。

    また、株式会社は定款認証の手数料が5万円必要ですが、合同会社の場合定款を認証する必要がないためその5万円の費用も浮かせることができ、その定款も電子定款にすることで印紙代の4万円も必要なくなります。

    株式会社に比べて登記の書類も少なく、認証する時間も省けますので設立までの期間も短縮することができるでしょう。

  • 役員変更の手続きが不要

    合同会社の場合、定款で役員の任期を定めない限り任期は存在しません。

    株式会社の場合の任期は2年~10年までと定めがあるためその都度役員変更をしなければならなく、当然印紙代や専門家に依頼する場合は依頼料が発生します。

    実際に役員の変更・役員の氏名や住所に変更が生じない限り変更登記をする必要はありません。

  • 決算公告が不要

    株式会社では義務化されている決算期毎の公表が合同会社では公告義務がありません。

    毎年支払う決算書を掲載するための掲載料6万円も必要ありません。

  • 経営が自由

    会社に利益が出たときの配当金の分配率を出資比率に関係なく自由に設定することができます。

    株主総会も必要ないため迅速に経営上の決定を行うことができます。

合同会社の場合、社員全員の同意があれば株式会社に組織変更することが可能です。

株式会社を設立するには費用もかかりますので最初に合同会社で安く早く設立して、経営が落ち着き軌道に乗ったときに必要に応じて株式会社に変更する方法もあります。

設立についてのメリットがあれば当然知っておくべき注意点もあります。

合同会社の注意点

  • 認知度の低さ

    株式会社に比べて認知度が低いため、信頼が得られにくいことがあります。

    求人をする場合や取引をする場合など同じ条件であれば株式会社を選択されることがあるでしょう。

    そのためより良いパフォーマンスが必要となります。

  • 出資者間でのトラブル

    出資者が複数いる場合で、経営がうまくいっているときは意見も纏まりやすいですが、一度意見が対立すると収拾がつかなくなる場合があります。

    日常業務に支障が出ないよう信頼できるパートナーと設立し、その信頼を継続させなければなりません。

  • 出資をしなければ経営に参加できない

    出資者は原則経営に参加する事になりますが、定款に定めれば出資者でも参加できないようにすることはできます。

    しかし、出資者ではない者はいくら定款に定めても経営に参加させることはできません。

合同会社に向いている人

  • 法人にする必要がある場合
  • 設立費用をとにかく抑えたい
  • 自由な経営をしたい
  • 能力を重視した経営をしたい
  • 株式会社へ組織変更するための準備として

株式会社に向いている人

  • 社会的信用を得たい人
  • 出資を募り事業拡大していきたい
  • 設立費用は安くなくてもいい

より詳しい解説をこちらに記載しています。 → 建設業許可の取得に向けてまずは知っておきたい8つのポイントと6つの許可要件

建設業許可取得もお考えの方は、弊社が別に運営しております建設業許可申請.comもご参照下さい。建設業許可申請のみならず、経営事項審査や各種変更、資金調達等様々な情報を公開しております。



ご自身で簡単に、合同会社設立や設立後の各種変更手続きが出来るキットを「低価格」にて販売中です。



合同会社の税金相談はおまかせ。全国の税理士を無料でご紹介