合同会社で仮想通貨取引
仮想通貨に対する課税や税率はどうなるの?
2017年に仮想通貨の相場は大幅に上昇しました。そのため、国税庁は仮想通貨による所得の計算方法を発表し、適正な申告を行うように注意を喚起しています。
仮想通貨の売却や、仮想通貨による商品の購入、また、仮想通貨同士の交換などで発生した利益が課税対象です。
必要経費を利益から引いた金額が所得になり、給与所得者であれば給与以外に所得が20万円を超える場合に確定申告の必要が生じます。
仮想通貨による所得は、税法上は雑所得に分類されます。基本的に為替差益と同じく総合課税の対象です。
住民税が一律10%なので、それと合わせて考えると税率は15〜55%になります。所得が大きいほど税金の負担が重くなる仕組みです。
なお、外国為替証拠金取引(FX)による所得も仮想通貨と同じく雑所得ですが、FXは「先物取引にかかる雑所得」としてそれ以外の所得と区別されています。
仮想通貨で得た所得に対する税金は、その都度源泉徴収されるものではありません。自分で確定申告する必要があります。
確定申告では全所得を申告しなければならないので、国内取引所で得た利益だけでなく、海外取引所で得た利益も同様に申告する義務があります。
なお、証券会社が計算してくれる金融商品とは異なり、仮想通貨による所得は自分で計算しなければなりません。(2018年現時点では)
外国為替取引のFX創成期がそうだったように、仮想通貨でも申告しない人は多数出てくるでしょう。
仮想通貨取引所とは?
取引所といってもどこかにそういう場所があるわけではありません。インターネット上で運営されるサービスを提供するサイトのことです。
仮想通貨を取引するには、当然取引相手が必要ですが、その際、不特定多数の第三者と交換するのを仲介してくれるのが仮想通貨取引所の役割です。
実際にどこかに人が大勢集まって取引を行うわけではありませんが、感覚的には株の取引における株式市場のようなものと考えてよいでしょう。
仮想通貨取引所と同じような存在として仮想通貨販売所もありますが、販売所でできるのは仮想通貨の購入のみです。
販売所ではその運営元が販売価格をすでに決めているため、購入したいだけなら取引所よりスピーディーに完了できます。
取引所では、購入者と売却者との間でオークションのように希望価格をマッチングさせるため、双方の取引金額がそろうまで多少取引に時間がかかる仕組みです。手数料は必要ですが、少額から取引できることで人気を集めています。
最近はコインチェックのNEM盗難事件がありましたが、セキュリティ上のリスクや取引所自体の倒産リスクなど、投資本来の取引による損失以外にも注意しなければならない点が多数あります。
また、税金的な話をすると、これまたFX同様に取引所に開示義務を課して、個人の所得は完全に税務当局には把握されると考えた方が良いでしょう。
仮想通貨で支払えるもの(お店)って例えばどんな所があるの?
仮想通貨といえば投資への関心ばかりが高まっていますが、通貨というぐらいですから本来は支払いに使用することを目的として開発されたものです。
ただ、まだまだ仮想通貨で決済できるところは多くなく、最も知名度の高いビットコイン以外だとその数はずっと少なくなります。
ビットコインを中心に仮想通貨による決済方法を導入する企業は確実に増えているので、2018年以降、ビットコイン以外も決済できるところが増えていくでしょう。
もっとも有名なのは家電量販店の最大手ビックカメラでしょう。ネットショップだけでなく実店舗でも利用できます。1回の会計に使用できる金額に上限はありますが、ビックカメラグループのソフマップやコジマなど利用できる店舗は拡大中です。
大手メガネチェーンのメガネスーパーでもビットコインによる決済が可能です。2017年には334の店舗で導入を始めました。また、旅行会社の大手H.I.Sも、都内の店舗に限りますが、ビットコインでの支払いが可能です。
そのほか、東京都内を中心に商店やカフェでビットコイン決済を導入する店が増えています。
また、株式会社ビットポイントジャパンでは、ビットコインに次ぐ知名度のイーサリアムも決済方法に導入しており、今後この傾向はさらに進むと予想されます。
ネット上では「仮想通貨を日本円に変えず、そのまま決済すれば課税されない」と誤った情報が一時拡散されましたが、そのようなことはありませんのでご注意ください。
億り人(仮想通貨で利益1億円達成の人)の税金と社会保険料シュミレーション
仮想通貨の相場が急騰したことで、1億円以上の利益を出す投資家が出てきました。そういう人たちのことを一部で「億り人」などと呼び、うらやむ声もある一方、ビットコインの相場が急落したことなどを受けて、「税金が払えない人も出てくるのではないか」という指摘もあります。
仮想通貨で1億円以上稼いでも、一生遊んで暮らせるわけではないのです。
平均的なサラリーマンは生涯で2〜3億円稼ぐと言います。仮想通貨で同じぐらい稼ぐことができれば、もう働く必要がないように思えますが、生涯かけて給与を受け取る場合と短期間で大金を手にするのとでは、税金の控除額に大きな差が生まれるのです。
生涯に給与2.5億円と退職金2,000万円の合わせて2.7億円稼ぐサラリーマンを例に取りましょう。
年収に直すと平均675万円です。社会保険料が年間100万円かかるとすると、所得税と住民税で62万円ですから、納税額は162万円、手元に残るのは1年で513万円ということになります。あくまでも40年間働いたとしたら2億円ほどの稼ぎになるというわけです。
仮想通貨で年収1億円稼いだとすると、それは雑所得になるので税率は最大の55%が適用されます。
控除もありますが、所得税と住民税だけで5,000万円近くになるでしょう。社会保険料や年金も合わせると1億円の半分も残りません。
つまり、平均的なサラリーマンの生涯年収を得るには、4億円は稼ぐ必要があるということです。
尚、国民健康保険の場合には上限がありますし、サラリーマン収入があり且つ仮想通貨で1億円の収入になったとしても、社会保険料は給与に関する額だけ(給与収入が600万円だとしたら、600万円に対する保険料)ですので、保険料がバカ高くなることはありません。
含み益には課税されるの?個人と法人でどう違う?
含み益がある状態で仮想通貨を持ち続けても税金を考える必要はありません。
なぜなら、課税対象には現金化(あるいは決済)して初めてなるからです。含み益があっても現金化していなければ所得にならず、税金の支払いも不要というわけです。
仮想通貨で得た所得は雑所得になります。雑所得は給料などほかの収入と合算して、累進課税が適用される仕組みです。これが痛いですよね。
そのため、所得が多くなるほど税率も高くなります。おおよそでは年間の所得が400万円なら20%、1,000万円なら33%です。
さらに住民税が一律10%かかるため、仮想通貨で4,000万円以上儲けた人には最大税率55%が適用されることになります。(とはいえ、4000万円にまるまる55%課税ではなく、累進課税となります。詳しくはこちらのページをご参考に)
ただ、上の例は個人の場合です。
法人でも税金はかかるものの個人とは違う税率が適用されるので、支払うべき税金はもっと少なくなります。
法人には、法人税、法人住民税、法人事業税の3つの税金がありますが、全部合わせても最大35%程度です。
つまり、仮想通貨で1億円の利益を上げた場合、個人なら5500万円が税金になりますが、法人なら3500万円で済むということです。
事業規模が大きくなければ税率は20%程度ですので、法人で仮想通貨を運用するとかなりの節税になります。
FXのように、現時点では含み益にも課税されません。(FXの場合期末の時価評価になりますので含み益に課税されます)
この部分含め、恐らくは多くの部分で仮想通貨に関する課税は変わってくると思われますが、現時点での課税方式を見ると、税率から考えて法人化しない手はないかなと思います。
合同会社で法人化する際の注意点
- 定款の事業目的に「仮想通貨取引」などの文言を入れる
- 法人口座開設を睨んで資本金は高めに設定する
- 法人化をしたとしても法人口座を開設できるとは限らない